本工学研究機器センターは昭和38年3月、工学部創立65周年記念事業の一環として、工学部卒業生の団体である熊本大学工業会のご寄附により、工学部における研究機器共同利用施設として設置されて以来、半世紀にわたり工学部の教育研究、特に計測や分析において大きく貢献してまいりました。その間、現在の工学部百周年記念館の場所にあった当初の建屋は平成8年に現在の場所に新設移転され、センターの研究機器も最新の機器にリニューアルされてきました。教職員の数や研究費などの制約がある中、研究室や学科を越えて高額な研究機器を共同で利用できる施設として、工学研究機器センターが国内の工学部においても逸早く整備され、現在まで存続・発展できたことは、諸先輩方の先見の明があったこと、並びに関係方々のご支援のお陰だと思います。
さて、近年の先端科学研究においては高度な分析・計測機器がますます不可欠となっており、これらの先端分析機器の利用にあたっては、性能を保つための機器の保守・運用が重要になっています。分析機器の高度化、自動化が進む一方で、装置のポテンシャルを引き出すには、装置の保守点検、測定のオペレーションだけでなく、測定に適したサンプル調整から得られたデータの妥当性の解釈まで、高度な知識や技術がこれまで以上に重要になっています。工学部技術部メンバーの尽力で、センターの機器は常に最良の状態で利用して頂けるよう維持管理されています。また、技術部職員のみなさんはそれぞれ担当装置のスペシャリストとして研鑽を積み続けており、測定の可能性から様々なアドバイスまで、学内外からのご相談にも応じてくださいます。
工学研究機器センターに設置されている分析計測機器は、老朽化や、機器に要求される性能・機能の高度化により漸次更新が必要となります。機器の維持管理や最新機器への更新のために、より多くの方々に利用して頂き、工学研究機器センターの利用率を上げることが重要です。センターでは、Webによる機器の予約システムの導入し、分析機器の操作講習会や「基礎分析技術セミナー」の主催などの広報活動を行ってきました。平成25年度からは、研究大学強化促進事業に本学が採択され、全学の研究効率を高めるために研究用共同設備の効率的な運用が求められております。そこで全学の教職員と学生を対象に大学院先導機構研究戦略・研究推進部門が主催し、工学部技術部のサポートにより「共同利用設備に関する利用促進セミナー」が開催されています。
また全国的な共同利用プログラムとして、大学連携研究設備ネットワーク(旧・化学系研究設備有効活用ネットワーク)https://chem-eqnet.ims.ac.jp/にも参画しております。こちらのご利用においても、学内の登録を引き受けておりますので、お気軽にご相談ください。
本センターでは、今後も引き続き既存機器の更新ならびに新鋭機器の整備を行うとともに、各種技術セミナーの開催、本学の教育および研究に支障のない期間における学外からの受託試験の受け入れなど、さらなる進展に向けて活動してまいります。今後とも、ご支援ご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。